そんな日もある

ジョンがあくびしたのを見て、夜明けも近いしさあ寝るかとドラルクが棺桶を開けた瞬間、隣のソファベッドから聞こえた衣擦れの音。
ロナルドが起きたのかと視線を向ければ、暗闇の中に昼空の瞳がこちらを見ていた。
「うお?!起きとったのか」
流石に少し驚いてる耳を砂にするも、ロナルドは何も言わずにじっとドラルクを見つめている。
まだ寝ぼけているのかとドラルクは気にせずに棺桶の蓋に手を触れた。
「……どらこー……」
「うん?なんだ?」
隙間からジョンだけ棺桶に入れて振り向くと、こちらに伸ばされているロナルドの両手。
「ん」
「……カ◯タか」
先日テレビで放送していたジ〇リ作品の登場人物の名前を、ドラルクは呆れた様に呟いた。
「ん」
しかしロナルドは再びそう言うと、両手を伸ばし続ける。
「……なんだね」
「ん!」
「だからなんだね。ちゃんといえ」
「んー!!」
どんどん赤くなっていくロナルドの顔に、ドラルクはひとつため息をついた。
「どらこぉ……」
「……あー、もー、はいはい。5歳児」
ジョンを棺桶から抱き上げると、するりとロナルドの横に寝転がった。
「ん…」
「まったく…」
ぎゅう、と緩く抱きしめるとロナルドはすぐに寝入ってしまった。首を曲げてその顔を見つめ、ドラルクは笑う。
「ほんと、手がかかる5歳児だね」
ヌー、と答えるようにジョンが鳴いたあと、ドラルクは目を閉じた。